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「壁に穴を開けたら、退去のときにいくら請求されるんだろう」。賃貸のひとり暮らしだと、収納グッズを選ぶ前にまずこの不安がよぎります。かといって床にモノを置いていくと、部屋はどんどん狭く見えていきます。
この記事では、壁を傷つけずに「浮かせる」ことで収納量を増やすアイデアを12個まとめました。使うのはマグネットとフィルムフックの2種類です。原状回復の線引きや、剥がすときの注意点、引っ越し後も使えるかどうかまで、賃貸ならではの不安に沿って解説しています。

- この記事の前提
- 賃貸で「浮かせる収納」が正解な理由
- 「開けていい穴」の線引きを先に知っておく
- 壁の種類を3分で判定する
- 1. マグネットバーで包丁・キッチンばさみを浮かせる
- 2. マグネットスパイスラックで調味料瓶をコンロ脇に浮かせる
- 3. マグネットフックでキッチンペーパー・ポリ袋ホルダーを浮かせる
- 4. フィルムフックで鍵・郵便物のポケットを玄関の壁に作る
- 5. フィルムフックでカレンダー・メモボードを浮かせる
- 6. フィルムフックでアウター・カバンの一時掛けを玄関に
- 7. マグネットピンボードでリモコン・文房具を浮かせる
- 8. フィルムフック+ワイヤーネットで壁面ディスプレイを作る
- 9. マグネットで洗面所の歯ブラシ立て・コップを浮かせる
- 10. フィルムフックでタオル掛けを浴室の外に追加する
- 11. マグネットで掃除道具を浮かせて収納する
- 12. 色を3色までに揃えて見た目を整える
- 耐荷重の見方と落下対策
- きれいに剥がす手順(壁紙・塗装を守る)
- 水回りは別ルール(浴室・キッチンはマグネット優先)
- 買う前に測っておく3つのポイント
- 引っ越しても使えるものを選ぶ
- まとめ|壁を傷つけずに「浮かせる」から始める
- 更新履歴
この記事の前提
この記事は、壁に釘やネジを打てない賃貸物件を前提にしています。扱うのは、マグネットとフィルムフックという2つの方法で、床に置いているモノを壁面や建具の面へ移す工夫です。石膏ボード用アンカーなど下地に穴を開ける固定方法は扱いません。原状回復の負担には賃貸借契約の特約も関わってくるため、個別の可否は契約書と管理会社への確認が前提になります。記載の内容は2026-08-13時点の情報にもとづくもので、商品の価格は各商品カードの表示時点をご確認ください。
賃貸で「浮かせる収納」が正解な理由
賃貸物件の多くは、壁に釘やネジで棚を固定することを想定していません。原状回復義務があるため、壁に開けた穴や跡は退去時の負担になる可能性があります。だからこそ、壁を傷つけずに使える「マグネット」と「フィルムフック」の2種類だけで、収納を床から壁面に移すという発想が有効です。山崎実業の「tower」のように、賃貸向けのマグネット・フィルムフック雑貨を専門に展開しているシリーズもあり、選ぶときの目印になります。床にモノを置かない部屋は、掃除がしやすくなるだけでなく、部屋そのものが広く感じられます。
「開けていい穴」の線引きを先に知っておく
浮かせる収納を始める前に気になるのが、「どこまでなら原状回復の対象にならないのか」という線引きです。国土交通省がまとめた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、画鋲やピン程度の小さな穴は下地ボードを傷めない使用の範囲として通常損耗(貸主負担)に整理されるケースが多い一方、ネジや石膏ボード用アンカーのように下地に食い込む穴は、通常の使用を超える損耗として借主負担になりやすいという考え方が示されています。ただしこのガイドラインに法的な強制力はなく、契約に特約があれば、その内容も関わってきます。なお同ガイドラインは、通常の原状回復義務を超えた負担を借主に負わせる特約について、客観的・合理的な理由があること、借主がその内容を認識していること、借主が特約による義務を負う意思表示をしていること、という要件を満たしていなければ効力が争われうるという考え方も示しています。個別の可否は、まず契約書の原状回復に関する特約を確認し、判断に迷う場合は管理会社・大家さんに直接確認してください。 この記事で紹介するマグネットとフィルムフックは、いずれも壁に穴を開けずに使えるタイプを前提にしています。
この記事で紹介する12個を、固定方式と壁への跡の残りにくさで整理すると次のとおりです。
| # | アイテム | 固定方式 | 壁への跡 |
|---|---|---|---|
| 1 | マグネットバー(包丁・キッチンばさみ) | マグネット | ◎ 穴・跡が残らない |
| 2 | マグネットスパイスラック | マグネット | ◎ 穴・跡が残らない |
| 3 | マグネットフック(キッチンペーパー・ポリ袋) | マグネット | ◎ 穴・跡が残らない |
| 4 | フィルムフック(鍵・郵便物ポケット) | フィルムフック | ○ 正しく剥がせば跡は残りにくい |
| 5 | フィルムフック(カレンダー・メモボード) | フィルムフック | ○ 正しく剥がせば跡は残りにくい |
| 6 | フィルムフック(アウター・カバン) | フィルムフック | ○ 重いものは特に丁寧に剥がす |
| 7 | マグネットピンボード | マグネット | ◎ 穴・跡が残らない |
| 8 | フィルムフック+ワイヤーネット | フィルムフック | ○ 正しく剥がせば跡は残りにくい |
| 9 | マグネット(洗面所の歯ブラシ立て) | マグネット | ◎ 穴・跡が残らない(鉄製の面がある場合) |
| 10 | フィルムフック(浴室外のタオル掛け) | フィルムフック | ○ 水しぶきを避ければ跡は残りにくい |
| 11 | マグネット(掃除道具) | マグネット | ◎ 穴・跡が残らない |
| 12 | 色を3色までに揃える | — | 固定方式の話ではなく見た目の仕上げ |
※この表は2026-08-13時点の整理で、固定方式ごとの一般的な傾向を示したものです。跡の残りやすさは壁材と製品によって変わります。
マグネットは壁そのものに穴や跡が原理的に発生しない一方、フィルムフックは正しく剥がせば跡が残りにくいタイプという整理です。どちらも「壁への跡がゼロと保証されたもの」ではないため、迷ったときは前述の特約確認・管理会社への相談を優先してください。
壁の種類を3分で判定する
マグネットが使えるかどうかは、実際に磁石を壁に当ててみると確実です。くっつく場合は、キッチンの鉄製パネルや家電の側面、玄関ドアなど鋼板でできた面である可能性が高く、多くの居室の壁(石膏ボードにクロスを貼った面)にはそのままでは付きません。フィルムフックは多くの壁紙(クロス)に対応していますが、凹凸の強い壁紙や砂壁、タイルの目地には貼りつきにくい傾向があります。購入前に、取り付けたい面の壁紙表面がなめらかかどうかを触って確認しておくと失敗が減ります。
つまり、壁面そのもの(石膏ボードにクロス仕上げの面)にはマグネットが基本的に使えないため、この記事で紹介するアイテムのうち壁面に直接取り付けるものはフィルムフックが中心になります。一方、キッチンの鉄製パネルや冷蔵庫・洗濯機の側面、玄関ドアの鉄部分といった家電・建具の鋼板面には、マグネットが使えます。取り付けたい場所が「壁そのものか」「鉄製の家電・建具か」を先に切り分けると、マグネットとフィルムフックのどちらを選ぶべきかが決まります。
ここからは、賃貸でも使える浮かせる収納のアイデアを12個紹介します。
1. マグネットバーで包丁・キッチンばさみを浮かせる
コンロ横やレンジフードの側面など、マグネットが付く鉄製の面があるキッチンなら、マグネットバーを1本取り付けるだけで包丁やキッチンばさみを浮かせて収納できます。引き出しの中で刃物が重なる状態を避けられるうえ、使うときに取り出しやすくなります。山崎実業の「tower」のようなマグネットバーシリーズも、キッチン向けの定番として知られています。
刃物は浮かせる収納のなかでも落下・接触のリスクが特に大きいアイテムです。子どもの手が届かない高さに取り付け、確実に磁力で保持されているか(グラつきがないか)を設置後に必ず確認し、人が行き来する動線から刃先が離れる向き・位置で固定してください。マグネットバーの耐荷重に対して刃物の本数・重さが超えていないかは、このあと紹介する「耐荷重の見方と落下対策」もあわせて確認しておくと安心です。
2. マグネットスパイスラックで調味料瓶をコンロ脇に浮かせる
コンロ下や引き出しの中で調味料瓶が倒れたり奥に埋もれたりするのは、賃貸の狭いキッチンによくある悩みです。レンジフードの側面や換気扇まわりなど鉄製の面がある場合は、マグネットで固定するスパイスラックを使うと、調味料を目の高さに並べられて、料理中に手を伸ばす距離も短くなります。tower(山崎実業)のようなシリーズにもマグネットスパイスラックがあり、選ぶときの候補になります。瓶を並べる場合は、耐荷重に余裕のある製品を選んでください。
3. マグネットフックでキッチンペーパー・ポリ袋ホルダーを浮かせる
キッチンペーパーやポリ袋のストックは、置き場所を決めないとカウンターの上に出しっぱなしになりがちです。マグネットフックを使えば、冷蔵庫の側面やレンジフードにペーパーホルダーやポリ袋ホルダーを取り付けられます。使う場所のすぐ近くに指定席ができるので、片づけの手間も減ります。
4. フィルムフックで鍵・郵便物のポケットを玄関の壁に作る
帰宅してすぐ鍵や郵便物を置く場所が決まっていないと、テーブルの上に物が積み重なっていきます。玄関の壁にフィルムフックでウォールポケットを取り付ければ、玄関を入ってすぐの動線に鍵と郵便物の指定席ができます。壁紙の材質を確認してから貼りつけましょう。
5. フィルムフックでカレンダー・メモボードを浮かせる
棚や机の上にカレンダーやメモボードを立てかけると、その分の平面スペースが埋まってしまいます。フィルムフックでリビングの壁にかければ、スペースを取らずに予定やメモをいつでも確認できる場所ができます。軽いものであれば、フィルムフック1〜2個で固定できます。
6. フィルムフックでアウター・カバンの一時掛けを玄関に
帰宅後すぐにアウターやカバンを掛けられる場所がないと、椅子やベッドの上が定位置になりがちです。玄関やその近くの壁にフィルムフックでフックを追加しておくと、一時的に掛けておく場所ができ、部屋の中にモノが持ち込まれるのを減らせます。重いコートを掛ける場合は、耐荷重に余裕のあるタイプを選んでください。
7. マグネットピンボードでリモコン・文房具を浮かせる
テレビのリモコンやペン、はさみなどの細かいものは、テーブルの上に散らばりやすいアイテムです。近くにマグネットが使える面があれば、マグネット式のピンボードやトレーを取り付けて定位置を作れます。マグネットが使える面が見当たらない場合は、同じ形状でフィルムフック対応のタイプを選べば、壁面でも同じように設置できます。在宅で作業をするスペースの近くに置くと、文房具を探す時間も減らせます。
8. フィルムフック+ワイヤーネットで壁面ディスプレイを作る
殺風景に見える壁を、収納しながら見た目も整えたいときは、フィルムフックでワイヤーネットを固定する方法が使えます。ネットにS字フックを掛ければ、観葉植物の鉢や雑貨をぶら下げて飾りながら、床や棚の上のスペースを空けられます。ネット自体の重さと掛けるものの重さを合わせた耐荷重を確認してから使ってください。
9. マグネットで洗面所の歯ブラシ立て・コップを浮かせる
洗面台の上に歯ブラシやコップを直置きすると、水滴がたまって掃除の手間が増えます。洗面台の背面や側面に鉄製の面がある場合は、マグネットタイプの歯ブラシ立てで浮かせておくと、水切れがよくなり掃除もしやすくなります。浴室に近い水回りでの使用については、このあと紹介する「水回りは別ルール」の項目もあわせて確認してください。洗面所全体の収納アイデアは別記事でまとめているので、洗面台まわりをまとめて見直したいときはそちらも参考にしてください。
10. フィルムフックでタオル掛けを浴室の外に追加する
浴室のドア付近にタオル掛けが1つしかないと、自分の分のタオルだけでも掛けきれないことがあります。浴室の外側の壁にフィルムフックでタオルバーを追加すれば、洗濯前のタオルや部屋着の一時掛けスペースが増えます。水しぶきがかかりやすい位置は避け、乾いた壁面に取り付けるのがポイントです。洗面所・脱衣所まわりの収納は別記事でも扱っているので、あわせて確認してみてください。
11. マグネットで掃除道具を浮かせて収納する
コロコロやミニほうき、ちりとりなどの掃除道具は、収納場所を決めないと部屋の隅に立てかけたままになりがちです。マグネットフックを使えば、洗濯機の側面や玄関ドア裏の鉄製部分に掃除道具をまとめて掛けておけます。使いたいときにすぐ手に取れる場所にあることで、こまめな掃除にもつながります。洗面所・脱衣所の収納とあわせて考えると、水回り全体がすっきりまとまります。
12. 色を3色までに揃えて見た目を整える
ここまで紹介したアイテムを一通り揃えたら、最後は見た目の仕上げです。マグネットフックやフィルムフックは色・素材のバリエーションが多いため、選ぶたびに違う色を買うと、壁面がにぎやかになりすぎてしまいます。ホワイト・グレー・木目など、部屋の家具に近い色を3色までに絞って選ぶと、機能で選んだアイテムでも統一感のある壁面にまとまります。
耐荷重の見方と落下対策
浮かせる収納で特に注意したいのが、耐荷重を超えて使ってしまうことによる落下です。マグネット・フィルムフックのどちらも、商品ごとに耐荷重が異なるため、パッケージや商品ページに記載された耐荷重を確認してから、掛けるものの重さと照らし合わせてください。瓶や食器、刃物のような割れ物・重量物・危険物を掛ける場所では、表示の耐荷重に余裕のある製品を選ぶことをおすすめします。長期間同じ場所に掛けたままにする場合は、粘着力が徐々に弱まることもあるため、時々かかり具合を確認する習慣をつけると安心です。
きれいに剥がす手順(壁紙・塗装を守る)
フィルムフックを剥がすときは、いきなり引っ張るのではなく、フィルム面に対して水平に、ゆっくりとスライドさせるように剥がすのが基本です。急いで垂直に引っ張ると、壁紙の表面を一緒に持っていってしまうことがあります。剥がした跡に粘着が残った場合は、無理にこすらず、専用のクリーナーや商品の説明書に沿った方法で拭き取ってください。マグネットは磁石を壁から外すだけなので、粘着跡の心配はほとんどありません。
水回りは別ルール(浴室・キッチンはマグネット優先)
浴室やキッチンのシンク周りは、水や油が粘着面に付着しやすく、フィルムフックの粘着力が想定より早く落ちてしまうことがあります。水や油がかかりやすい場所では、粘着に頼るフィルムフックよりも、防水・防錆タイプのマグネットを優先して選ぶと安定して使えます。フィルムフックを水回りで使う場合は、防水タイプかどうかをパッケージで確認し、直接水がかかる位置を避けて取り付けてください。
買う前に測っておく3つのポイント
浮かせる収納で失敗しやすいのは、「壁に対応する製品を買ったつもりが、実際の面に合わなかった」というケースです。購入前に、次の3点を確認しておきましょう。
- 壁の素材: マグネットなら実際に磁石を当てて確認、フィルムフックなら壁紙の表面がなめらかかどうかを触って確認する
- 取り付け面の平らな範囲: 凹凸のある壁紙や、幅木に近すぎる位置は避け、平らな面がどれだけ確保できるかを測る
- 掛けたいものの重さ: フックやマグネットの耐荷重表示と、実際に掛けたいものの重さを事前に照らし合わせておく
測った数値を写真やメモとしてスマホに残しておくと、店頭でも通販サイトでも製品選びで迷いにくくなります。
引っ越しても使えるものを選ぶ
浮かせる収納の多くは、次の住まいでも使い続けられるのが特徴です。マグネットは壁の素材が合えばそのまま使えますし、フィルムフックも粘着面をきれいにすれば繰り返し使えるタイプがあります。今の部屋専用の造り付け家具とは違い、引っ越しのたびに買い直す必要がないという点も、賃貸で浮かせる収納を選ぶ理由のひとつです。購入時に「粘着面が繰り返し使えるタイプかどうか」を確認しておくと、次の部屋でも同じアイテムを使い続けられます。
まとめ|壁を傷つけずに「浮かせる」から始める
賃貸OKの浮かせる収納アイデア12選を振り返ります。
- マグネットバーで包丁・キッチンばさみを浮かせる
- マグネットスパイスラックで調味料瓶を浮かせる
- マグネットフックでキッチンペーパー・ポリ袋ホルダーを浮かせる
- フィルムフックで鍵・郵便物のポケットを玄関に作る
- フィルムフックでカレンダー・メモボードを浮かせる
- フィルムフックでアウター・カバンの一時掛けを作る
- マグネットピンボードでリモコン・文房具を浮かせる
- フィルムフック+ワイヤーネットで壁面ディスプレイを作る
- マグネットで洗面所の歯ブラシ立て・コップを浮かせる
- フィルムフックでタオル掛けを浴室の外に追加する
- マグネットで掃除道具を浮かせて収納する
- 色を3色までに揃えて見た目を整える
床にモノを置かない部屋は、掃除もしやすく、退去のときの原状回復への不安も減らせます。まずは1つ、キッチンかどこか気になる場所から、マグネットかフィルムフックのどちらかを試してみてください。
更新履歴
- 2026-08-14 原状回復と特約についての表現を、同じ論点を扱う他の記事とそろえ、特約があれば自動的に負担が決まると読めない書き方に調整
- 2026-08-13 原状回復の特約に関する記述を、国土交通省ガイドライン原文の要件(客観的・合理的理由/認識/意思表示)を含む形に補正
このページの内容を修正した場合は、修正した日付と内容をここに記録します。
- 2026-08-13 公開

